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段階的なパスキー導入のプロセス

各ロールアウト戦略には5つのフェーズがあり、多くの場合、組織がプロセス全体を通じて新しい情報を得るたびに、これらのフェーズを繰り返します。この戦略は、パスキーのサポートを展開するために必要な労力と時間が最小限になるように設計されています。

図表:各フェーズごとに異なるサイズの円を5つ示し、円はそれぞれ線でつながる

ニーズの特定

サインインの成功率向上と時間短縮、カゴ落ち率(カート放棄率)の減少、アカウントの乗っ取り件数の削減による事業改善の可能性を文書化することで、リーダーに知識を提供し、チームを活性化させてパスキーの可能性を模索することができます。新しい認証手段を実装する場合、事業のニーズを文書化することは欠かせません。そのため、最初のステップでは、組織とエンドユーザーのニーズを特定し、それらを文書化します。

このプロセスを開始するにあたり、組織の現在の認証手段、ユースケース、原価、および業績指標を文書化し、その後、パスキーをサインインオプションとして提供する場合と比較します。これにより、パスキーサポートの実装に向けたユーザーと事業機会が明確になります。

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認証手段に関するインベントリ、原価、およびユーザーエクスペリエンスの分析」ワークシートには、認証インベントリ、原価分析、ユーザーエクスペリエンス分析が含まれます。ワークシートには、2つのタブがあります。1つはサンプルデータを含み、もう1つは空白です。空白のタブは、独自のデータを入力するのに使用します。

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passkey-worksheet-authentication-method-inventory-costs-and-user-experience-analysis.xlsx

アイデアの検討と選別

ユーザーの迅速なパスキー導入に最も適した方法を調査し、出てきたアイデアを選別します。この1つの方法として、同様の組織がパスキーのサポートを実装する過程で直面した課題や成功から学ぶことから始めてみましょう。

GoogleKayakDashlane などの組織の事例を参考にできます。これらの事例を検討するときは、サンプルワークシートの詳細と記載されている指標やユーケースを比較するようにしてください。

FIDOアライアンスでは14のデザインパターンを提供しています。このガイドでは、FIDOは次の2つを使用することを推奨しています。

この2つは、最も単純なパスキーの導入のパターンです。両パターンの詳細と動画をご覧ください。

パスキーの作成、表示、管理 パターンでは、アカウント設定 でパスキーを作成、表示、管理するようにユーザーに求める方法について説明します。パスキーパターンを使用してサインインする では、パスキーを使用して認証するためのベストプラクティスについて説明します。

概念とプロトタイプ

パスキーを使用して事業上の指標を改善するというビジョンで特定した目標を達成するには、技術と製品の計画を逆算して作業する必要があるでしょう。

パスキーのサポートを実装するには、フロントエンドおよびバックエンドコンポーネントを追加または更新する必要があります。これには、FIDOサーバーやシステム内のユーザーエクスペリエンスが含まれます。これらの技術コンポーネントを獲得する方法は数多くあります。

以下のオプションが利用可能です。

CIAMプロバイダを使用する

コンシューマーアイデンティティおよびアクセス管理システム (CIAM) プロバイダーにパスキーに関する説明を依頼します。すでに必要なパスキー技術とユーザーエクスペリエンスを備えている可能性があるためです。CIAMプロバイダーがいない場合は、「FIDO認定ショーケース」からプロバイダーのリストを参照してください。

社内チームを活用する

パスキー技術の選択について、社内のITチームおよびユーザーエクスペリエンスチームと話し合いを持ちます。社内で技術とユーザーエクスペリエンスを構築するオプションを議論し、利用可能な数多くのオープンソース ライブラリとFIDO認定サーバーのいくつかを調査します。オープンソースライブラリの一覧については、ライブラリを参照してください。

設計上、このロールアウト戦略により、プログラム管理に関して他の部門に大きく依存することなく、一つのチームが概念実証を作成できるようになります。たとえば、このロールアウト戦略では単一の地域と限定されたユースケースにのみ適用する場合、リスク・不正行為対策部門、マーケティング部門、または世界の他の地域の部門と緊密に連携する必要はありません。概念実証を作成するチームメンバーは、通常、テクノロジー アーキテクチャ、ソフトウェア エンジニアリング、ユーザー エクスペリエンス、製品管理に関するスキルを備えています。

初回リリースに必要な労力とスケジュールのレベルを特定するパスキーの概念実証を作成するには、一般的に組織はプロジェクト専用のスプリントを設定したり、ハッカソンを実施したりします。この作業の成果物は雇用者のみに提供され、ユーザーとは共有されません。このプロセスによりチームは欠陥を解決し、細かい点を調整しながら、十分な情報提供とユーザーのパスキー使用への移行に向けた準備を整えます。チームはこの作業の成果を経営幹部と共有し、変更要求を解決できます。「デザインガイドライン」に従うことで、パスキーエクスペリエンスをシンプルかつ安全にすることができます。ほとんどの組織では概念実証を複数回実施します。

ビルドとテスト

次のステップでは立ち上げ計画を策定し、実装テストを開始します。ビルドとテストプロセスの実行に役立つリソースを以下に示します。

  • アイデアの検討と選別」に記載されたデザインパターンを使用します。
  • パスキーに関するユーザー向けサポート資料の作成の詳細については、ユーザーコミュニケーションを参照してください。
  • FIDOのFigma UIキット」を使用して、パスキーエクスペリエンスで使用されるオペレーティングシステムとブラウザインターフェイスのエコシステムを理解します。「デザインガイドライン」に記載されているパスキー向けウェブサイトユーザーインターフェイスのサンプルがすべて含まれた別のFIDOアライアンスUIキットもあります。
  • ビルドとテストフェーズを進めるにつれ、ブラウザ、オペレーティングシステム、認証情報マネージャー間の技術的不一致がでてきます。いくつかのパスキーのユースケースでは障壁に遭遇し、ユーザー ジャーニーの経路に課題を発見することがあります。これらの課題を事前に理解するために、本フェーズの前後、およびフェーズ中には「トラブルシューティング」を参照してください。「トラブルシューティング」セクションには、FIDOアライアンスのメンバー企業によるパスキーのサポート実装から得られた知識とガイダンスが含まれており、実装に費やす時間を短縮できます。

リリースと最適化

このロールアウト戦略を使用した実装では少ない労力で済むはずです。段階的なロールアウト戦略に必要なエンド ユーザー エクスペリエンスでは、パスキーの作成を要求してエンド ユーザーの作業を中断する必要はありません。パスキーについて学んだり、パスキーを作成したりするための行動喚起はなく、パスキーのサポートを発表するための大規模なマーケティング キャンペーンもありません。これは、ロールアウト戦略を簡素化するために意図的に行われます。

このロールアウト戦略では、シンプルさを保つため、ユーザーのアカウント設定でパスキーを作成するためのプロンプトが表示されるだけです。詳細については、アカウント設定でパスキーを作成、表示、管理するデザインパターンに記載されています。ユーザーは、表示されたプロンプトに従ってパスキーを作成することができます。この設計によりユーザーが作成するパスキーの数が意図的に制限されるので、組織は発生する問題に系統的に対応し、最小限の内部リソースで問題を解決できます。

リリース後は、追加のパスキーデザインパターンを実装して、展開を最適化することを検討してください。

引き続きパスキーの登録とサインイン、および関連データに関する指標を監視し、パスキーの使用とユースケースの拡大に向けた次のステップを決定します。パスキーワークシートを使用して、実際のパスキーデータを追跡してください。

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認証手段に関するインベントリ、原価、およびユーザーエクスペリエンスの分析」ワークシートには、認証インベントリ、原価分析、ユーザーエクスペリエンス分析が含まれます。ワークシートには、2つのタブがあります。1つはサンプルデータを含み、もう1つは空白です。空白のタブは、独自のデータを入力するのに使用します。

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